変身

CS放送フジテレビONE/TWO/NEXTのオリジナル企画「ドラマ甲子園」は、高校生が一番感受性が高く、クリエイト能力が花開く時期であると、全国の高校生限定で脚本募集を行い、大賞受賞者には監督もしてもらい、プロのスタッフがサポートする中、プロの俳優が出演し一本の作品として仕上げる、2014年からスタートした新クリエーター発掘企画。今年で第3回を迎える今回は、初の男子高校生・佐藤孝樹さんの『変身』が大賞を受賞、8月頭から男子高校生監督として、現在通っている都内の高校をはじめ、都内各所で撮影を行った。 キャストは、今を輝く若手俳優、戸塚純貴、堀井新太、松井愛莉、そして個性と実力を兼ね備えたベテラン俳優の濱田マリ。ストーリーは、中学までの自分を一新、高校生デビューを決意した奥手の男子生徒の恋と友情と成長を描いた作品である。 監督にとっては何もかもが初めての撮影現場で初日は戸惑いを見せていたものの、若さならではの吸収力で環境に慣れるのも早く、スタッフや俳優陣とコミュニケーションを取りながら役者に指示する場面も度々見られるほど現場になじんでいた。 撮影も順調に進み無事クランクアップ、メーンキャスト3人と佐藤監督に話を聞いた。

Q.佐藤監督の印象は?

戸塚「知的な感じがすごく印象深かったです。でもやはり緊張しているのか最初は声が小さかったです。僕より年下の監督というのも初めてですし、監督は僕よりきっとドキドキしているんだろうなと思ったけど、逆に僕の方が緊張してしまって…」

堀井「初めて会った時の印象は本当に賢そうだなと。現場では最初はふつうの高校生で“よーい、スタート”を“よーい、どん”って言ったりするところがすごくかわいらしいなと思ったんですけど、二日目になったら学習能力がすごく高くて、ミスもないし、すごくいい声で“よーい、スタート!”って言うし、なにより現場が巻くんですよ。初めての監督でそんなことありますか?! あと、自分が脚本を書いているからすごく理想がしっかりしていて、指摘も的確でわかりやすいんです。この道を目指していったらものすごく優秀なディレクターになっていくんじゃないかなと思いました」

松井「初めてお会いしたときに自分より年上な感じがありましたが、聞く話によると女性とあまり話したことがないらしくて、最初目を合わせてくれなかったんです(笑)。でも、撮影に入ってからすこしずつ目を見てくれるようになってうれしかったです。すごくシャイな印象でした」

Q.高校生が脚本・監督する作品に出演すると聞いた時の印象は? またそれぞれの役柄について教えてください。

戸塚「最初にこの企画のことを聞いたときに、素晴らしい企画だなと思いました。若いエネルギーを発見してそれを大人たちが広げるという、その作り方が今までにないと思って、そこに参加できるのは身の引き締まる思いでした。監督と台本の話をしたときに女性の部分は全部妄想だと聞いて、主人公の桜井祐介は監督自身を投影している部分があるから、監督の思いを自分が背負って演じなければいけないと感じました。僕の役は中学生の時にイケてないグループにいて、高校生でちゃんとした青春を送りたいと高校デビューをする役なんです。現場にいる監督が松井さんといる時どうなのか、盗み見ていたら本当に目が泳いでいて…(笑)。監督がモニターごしにいる時は松井さんのシーンがやたら長いんです。(監督:“そんなことないです”)そういうところもいい意味で高校生らしいというか、自分たちにはないものを持っているなと思います」

堀井「この話が来たときは、こういう企画に参加できてうれしいなと素直に思いました。実際台本を読んでみて、“えっ、これ本当に高校生が考えたの?”と思うほどち密にいろいろなところが計算されていて、面白い作品になるんじゃないかなと思いました。今、僕は舞台をやっているんですけど、共演している役者さんにこの話をすると“それ楽しそうじゃん”って食い入るように聞いてくれて、もっともっとこういうことをやっているよといろいろな人に知ってもらいたいなと思います。役柄は高校デビューした祐介を導いてあげる役なんですが、この作品を読んで大事にしようと(戸塚くんと)二人で思ったのは関係性だね、って。ずっと二人の長いシーンがあるんですよ、セリフも多くて…(監督:“すみません”)すごい僕に対して監督が言ってくれるんですよ、僕も監督に“いろいろ言ってきてください”って言っていたので。僕の役が監督の理想の人で“かっこよく演じてください”と言われるんですけど“かっこよく”というのが難しくて、かっこよすぎるとただのかっこつけになってしまうので、どうかっこよく見えるように生きられるか監督とも話して、現場にいる皆で作っている感じがしていい現場でした」

松井「初めてこの企画を聞いた時にすごく面白い企画だなと思ったのと同時に、不安もありました。私もまだお芝居に慣れていないし、まだ若いはずなのに監督はさらに年下の方なんだと思って…。でも実際会ってみたらぶれないというか、ちゃんと考えていらっしゃるんだなと思いました。ご自身が書いていることなので、想像もふくらんでいて、それに応えなきゃと思いました。私が演じる美寿々は監督の中の完璧な女の子なんだなと思っていたんですが、最初に本を読んだときはあまり明るい子だとは思っていなくてそういう風に作っていかなかったんですけど、監督からは“明るくお願いします”と言われました。現場で私が最初にお芝居したら“もっとかわいくお願いします”と言われて、“もっとかわいくって難しい~”って(笑)」

監督「もっとかわいくなるし、(堀井さんは)もっとかっこよくなると思って」

堀井「言ってすぐ照れるんですよ。そこがかわいいんですよ」

監督「松井さんの方がかわいいです」

Q.これまでの撮影で大変だったことと、初めて映像を生み出す側になって将来への気持ちに何か芽生えたことがあったら教えてください。

監督「現場に入ってみて一番思ったのが、本当にびっくりするぐらいいろんな方が関わって作品ができているんだなと感じて、それぞれの方がプロフェッショナルでそれぞれの方が仕事して集まってできていて、その中で監督として上に立たせていただいている以上、高校生なのでただのお飾りになってしまわないよう、少しでもちゃんと自分でやっていかないとプロの方に飲まれてしまうと感じで、皆さんから認めてもらいながら自分の思うことも言いながら、というのが大変でした。最初は“監督のこだわりは?”と言われてもそんなにないなと思っちゃったんですけど、“ちゃんと言いたいことは言ってきてくれ”と言ってくださって、コミュニケーションをとりながらできたんじゃないかなと僕は思っています。もともとテレビはすごく好きで、テレビに関わりたいなとは思っていたんですが、実際にやってみて本当に楽しくて、悩むことよりも楽しいことの方が多くて、撮影が休みの日も撮影したいなと思ったので、将来できたらなという気持ちはあります」

Q.理想の女性として松井さんが現れた時はどうでしたか?

監督「生で会ってきた中で一番かわいいです。こんなかわいい人と話せるなんて大賞取れてよかったなと思いました」

Q.現場で監督と話したりするなかで高校生ならではの発想や感性を感じたことがあれば。

戸塚「脚本の時点でほとばしる若いエネルギーがすごいんですよ。だから会話の中で僕が女の子の話をするシーンを読んでいるとすごいむずむずしてくるんです。僕は実際の年は24歳なので。普通は監督からの指示ってトランシーバーを通して伝えられることが多いんですけど、佐藤監督は必ず僕たちのところまで走ってくるんです。お芝居し終わった時にベースから走ってくると“どうしたどうした!”ってなります(笑)」

堀井「僕が見た監督は会話が本当に高校生なので、指示の仕方もストレートで、“かっこよく”とか“かわいく”とか、これさえできたら無敵だなと思うんですよ。でもそういう自分の直感を信じた言葉が僕たちにはすごく響いたりするので、今までいろんな監督とやってきましたが、高校生監督は、はっとさせられることが多かったです」

松井「撮影の時は自分の意志をしっかり伝えてくれたりするんですけど、そうじゃないときはやはり高校生なんだなって思う部分はちらほらありました。聞いてくる質問とか。台本の男性のやりとりを読むと、“あ、こういう感じなんだ”と楽しみながら読みました。あと、お芝居がよかったらちゃんと“よかったです”って言ってくれるのがうれしかったです」

若いキャストと、彼らよりもさらに若い高校生監督との距離感の近さを感じさせるインタビューで、他のドラマ以上にスタッフ全員で一丸となって一つの作品を作っている空気があふれる現場となった。

なお、このドラマは2016年10月19日(水)午後10時30分~11時30分に放送することが決定! 撮影したものを佐藤監督がこれからどう仕上げていくのかにもぜひご注目いただきたい。また、佐藤監督が大賞を受賞した授賞式からクランクイン前の出演者との衣装合わせ・台本読みの様子、撮影中~クランクアップなど現場に完全密着したメイキング番組を9月から随時放送、またドラマ放送直前の10月19日(水)午後10時~10時30分に放送することも決定した。こちらもあわせてぜひご覧いただきたい。

■第3回「ドラマ甲子園」大賞受賞作品『変身』 番組概要

タイトル:第3回「ドラマ甲子園」大賞受賞作品『変身』

放送チャンネル:CS放送フジテレビTWO ドラマ・アニメ

放送日時:2016年10月19日(水)午後10時30分~11時30分

※午後10時~10時30分に『第3回ドラマ甲子園』メイキング番組『こじらせ男子の変身~初の男子高校生監督の熱い夏』を放送(9月から随時放送)