• #48 えちごトキめき鉄道・観光列車「雪月花」

    初回放送日:2021/10/14
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    えちごトキめき鉄道・妙高はねうまライン
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    営業キロ37.7km
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    駅数10
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    えちごトキめき鉄道・日本海ひすいライン
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    営業キロ59.3km
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    駅数13
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    今回「新・みんなの鉄道」が入線致しますのは、新潟の第三セクター鉄道「えちごトキめき鉄道」です。
    えちごトキめき鉄道は、2015年3月14日の北陸新幹線長野駅-金沢駅間の延伸開業に伴い、並行在来線として経営分離された第三セクター鉄道として開業しました。
    今回は、えちごトキめき鉄道が誇る観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」を中心に今注目の観光列車を満喫していただきます。

    堺正幸の取材日記

    「2021 鉄道の日スペシャル」で入線する「えちごトキめきリゾート雪月花」乗車前日、私は午後2時前「新潟県鉄道発祥の地」直江津駅のホームに降り立ちました。2015年3月に「北陸新幹線」が金沢まで延伸するまでは、北陸本線と信越本線が合流する基幹駅として多くの乗客や乗員で賑わった駅ですが、今は往事の面影はなく、ひっそりとしていました。直江津駅南口から向かったのは徒歩4分の所にある「直江津D51レールパーク」。今年4月に車両基地の一部に開設された鉄道のテーマパークです。入場口から直ぐの所にある大きな扇形車庫の中では、コンプレッサーの圧縮空気で動くD51 827号機(1943年6月国鉄浜松工場製)が、見る者を威圧するかのように佇んでいました。

    体験乗車の時間に合わせて、車庫からユックリ出てきて転車台で方向転換したD51は、見学者が乗る2両の車掌車(ヨ)に後進して連結(至近距離で機関車を見ることが出来るのが魅力!!)汽笛を合図に動き出し、直江津駅までの約250メートルを往復。スピードはユックリですが、蒸気機関車に牽引されている事が体感出来ます。また扇形車庫内には、旧国鉄型交直両用電車413系急行色(小豆色とクリームのツートンカラー)も展示されていて、車内にはグッズショップが設けられていました。

    翌朝、目が覚めてホテルの部屋のカーテンを開けて真っ先に確認したのが“当日の天気”少し雲はあるものの青空が広がる絶好の「雪月花」日和となりました。直江津駅から特急「しらゆき」で上越妙高駅へ。午前10時前、えちごトキめき鉄道のホームに降りると、2番線に「越乃Shu*Kura」が停車していました。

    車内での地酒サービス等で人気のある列車を見送った後、暫くして1番線へ。「雪月花」入線のホームアナウンスが流れ、直江津方面から2両編成の車体が近づいて来ました。初めてみる「雪月花」の車体色は赤でも朱色でもなく、担当の方に伺った所、銀朱色(ぎんしゅいろ)との事でした。

    アテンダントの方が乗車口で出迎える中、早速車内へ…今回私が座るのは2号車運転席の直ぐ後ろにある「展望ハイデッキ」。テーブルを挟んで2席ずつ計4席のセミコンパートメントという豪華な空間です。天井の肩部分から床まで切れ込んだ大きな窓からの素晴らしい眺めは是非番組でご覧下さい。

    午前10時19分定刻通り上越妙高駅を出発し、妙高高原駅を目指します。発車直後の「ウェルカムドリンク」に続き、地元新潟の食材にこだわった料理「フレンチ3段重ね」(真鯛のエスカベッシュ~手毬おにぎり)まで10品の美味しさは、とても私の文章力では伝えることが出来ません。途中信越本線時代からスイッチバックで有名な二本木駅で停車(アテンダントによる駅構内の案内があります)。21分停車した後、日本百名山に選ばれた妙高山(2454M)を右に見ながら登り勾配でディーゼル音を力強く響かせ「えちごトキめき鉄道」始発駅の妙高高原駅へ到着。この駅の線路の間には何と生きた○○がいるのです!!(鉄道ファンの方ならご存じだと思います)
    14分後、妙高高原駅を発車し直江津駅を目指します。この区間の愛称「妙高はねうまライン」は、春に妙高山の中腹に現れる雪形「跳ね馬」からつけられたそうです。

    直江津までは2号車が先頭車両となり、運転席の大きな窓からの眺望は正に格別です。 直江津駅からは再び進行方向が変わり「日本海ひすいライン」(沿線地域特産のヒスイと美しく輝く日本海のイメージを重ね合わせてつけられたそうです)を進みます。今では全国でも数少ない「駅弁の立ち売り」がある直江津駅を出発し最初の谷浜駅を過ぎると、右手に日本海が見えて来ます。冬の日本海は荒々しいイメージですが、この日の海面はまるで湖のように大変穏やかでした。
    名立駅を過ぎ、長い「頸城トンネル」に入ると、上越線の土合駅と共に「モグラ駅」として名高い「筒石駅」で10分停車。地上にある駅舎まで300段近い階段があり、そこまで行く時間はありませんが、長い上り階段を眺めるとモグラ駅の雰囲気は十分味わえます。筒石駅を出発し、「梶屋敷駅」と今年3月に開業した新駅「えちご押上ひすい海岸駅」の間にあるデッドセクションを過ぎると終点「糸魚川駅」に到着です。3時間弱の乗車時間はあっという間に過ぎて行きました。
    この路線の魅力は「妙高山と日本海、山と海」の景色が同時に堪能出来ることだと思います。さらに美味しい食事(糸魚川駅発の料理は日本食)と飲み物がリゾート気分を更に盛り上げてくれます。

    2016年4月から運行を開始し、2017年には鉄道友の会「ローレル賞」を受賞した「雪月花」。車体の前面と側面には「春の桜」「夏の海」「秋の月」「冬の雪」がイラストされていて、文字通り日本の四季を通して楽しめるリゾート列車だと言えます。
    担当の方は、桜の季節「春」がお薦めだということですので、次回はその季節に糸魚川駅発の「雪月花」で、日本食を味わいながら、ビール片手に沿線の絶景をもう一度じっくり見たいと思っています。