あの「寅さん」の原点！テレビ版「男はつらいよ」の初回、最終回をスペシャル放送します！！

永い間、行方不明で、もう顔すらほとんど覚えていない兄（渥美清）がある日、突然舞い戻ってきた。妹のさくら（長山藍子）は兄がいることも忘れかけ、最近恋人と婚約したばかり。ようやく幸福をつかもうとしていただけに、正直なところ、このぐうたらだった兄の寅次郎の出現は大変迷惑であった。
幼い時に母を失い、兄が居ない間に父に先立たれて、たった一人になってしまったが、自分を実の子同様に可愛がってくれる叔父夫婦に見守られながら、頭が良く、しっかり者の彼女は丸の内の一流会社につとめ立派に一人で生きてきた。
彼女がまだ小学校に入りたてのころ家を飛び出してしまった兄は、学校の成績もあまり良くなく、就職した先でも失敗続きのダメな兄であった。その後十数年。なつかしくはあったが、この永い間にどういう人間になってしまったかまったく見当もつかないだけに、彼女は不安であった。
だが彼女の不安をよそに、寅次郎は「あの頃、鼻ったれ小僧だったが、おめえ、べっぴんになったなぁ」となつかしがるばかり。有難迷惑なことを言い出したり、仕事を探してきたといって、家の前で妙な品物を大声で売ったり、彼女の頭痛の種を次々に作り出す。
だが、この数日の間に、彼は昔の通りダメな兄だが、優しい、妹思いの兄であることを知り、全部が彼の善意から出ていることが分かると、十数年の空白を超えて、彼女にも兄に対する愛情、肉親であるという実感が湧いてくるのだった…。

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