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第2回『ドラマ甲子園』

大賞「なんでやねん受験生」丸山美海さん

株式会社フジテレビジョン(本社:東京都港区台場、代表取締役社長:亀山千広)は、CS放送フジテレビONE/TWO/NEXTで全国の高校生を対象に脚本募集した「第2回ドラマ甲子園」の大賞作品を決定しました。

受賞式写真

(左から)清水賢治選考委員長、丸山美海さん

2015年7月4日。フジテレビ本社にて、第2回ドラマ甲子園の大賞授賞式が行われました!まずは大賞に『なんでやねん受験生』(作・丸山美海さん)が、そして佳作に『知りたい』(作・五十嵐紗英さん)が選ばれたことが発表され、選考委員長である清水賢治フジテレビ総合開発局長より、総評と選考理由が語られました。

<総評・選考理由>選考委員長:執行役員総合開発局長 清水賢治
実は今年の選考の際に、前も兵庫県のこの学校の子がいなかったかな?と思ったら、いました、丸山さんでした(会場笑)。大学受験会場に行ったら別れた恋人と出会っちゃったという、試験会場での1日の話なんですよね。その試験中に2人にひと騒動が起こるという、まるで三谷幸喜さんの喜劇みたいで、こういう発想ってなかなかない。着眼点と発想が本作はいちばん面白かったんです。そして二点目は、キャラクターの良さ。キャラクター造形は、自分の中にあるものを書くしかない。その意味で、今回の主人公の男の子と女の子は、こういう子たちを見てみたい!と感じさせてくれるもので、きっとお客さんを引きつけるだろうなと思いました。 言ってみれば、昨年の青山ななみさんの『十七歳』はこの対局にあたる作品で、限りなく完成度が高い。十七歳の高校生と美術の女性教師の、感情のひだを描くような純文学的な作品でした。このまま文芸賞に送っても、良い所までいくんじゃないかとさえ思わせられましたが、実はこの時に最後まで僕が悩んだ作品というのが、この丸山さんが書かれた『爆音依存症!!』でした。家庭の悩みを抱える女子高生が、すごいボリュームで音楽をかけて周りの音をシャットアウトしようとするという話です。これはハッキリ言って下手だったんですね。でも、主人公の女の子のキャラクターがとても良かったのと、その追い詰められた状況から目を離せなくて最後まで読んでしまった。この勢いこそ実は高校生らしいんじゃないかなと思ったんです。ですが『十七歳』の完成度があまりに高く、これを世に出さないわけにはいかないだろうと思いまして・・・残念ながら丸山さんは佳作となったわけです。すみませんでした(会場笑)

受賞式写真

丸山美海さん

<スピーチ>丸山美海さん
去年に続いてドラマ甲子園に応募しましたが、まさか連絡が来るとは思っていなかったので、今やっと実感がわいてきました。わたしは努力が苦手で、文章を書く練習もなかなか出来ていませんが、それでも自分は何かを書きたいと思いました。私は自分の感情に素直であろうと心がけていて、必要以上に傷ついたり、必要以上に人を好きになったりすることがあります。でもそこからいろんなものが見えてくるし、それを原動力にして誰かが笑ってくれたらすごいことだなと思っています。そんな気持ちを抱えつつ受験会場に行ったら、なんか面白い人たちがいっぱいいて。受験会場ってこんなにおもろかったんや、これは今しか書けないぞと思って、脚本を書き始めたんです。そうしたら、自分の辛かった体験をいろいろと思い出すことにもなってしまい、筆は止まり、母にお尻を叩かれましたが、なんとか締切間際で書き上げて送ることができまして。その作品で受賞の連絡を下さったので、私は恵まれたなというか、受験して良かった、傷ついて良かったなと思いましたし、なんだかもうすべて良かったな・・・何を言ってるのかわかりませんけど(笑)すごい機会を与えていただいて、不安と感動といろんなものが入り交じってますけど、いろんな人の力をお借りして、いいものが作れたら良いなと思います。ありがとうございました。

<質疑応答>
Q:昨年の悔しさをバネにしたというのはありますか?
A:最初はありました。去年「佳作です」と連絡をいただいた時に、「絶対来年も出したる」と思いました。

Q:いつ頃から脚本を書いたりしていたんですか?
A:お話を考えるのは小さいときから好きだったんですけど、書く作業が嫌いで。なので「こんな話があったら面白いだろうなあ」という発想を、ずっと書きためたりしていました。中学の時に演劇部に入り、高校に入ってからは小さい作品、大きい作品を問わず、台本を考える作業してきました。
Q:大きな影響を受けたのは作家や作品は?
A:宮藤官九郎さんが好きです。作品は、思わず「ぷっ」と吹き出してしまうようなものが好きです。
Q:将来の希望といいますか、どういう仕事につきたいですか?
A:劇作家になりたいです。
Q:やはりコメディですか?
A:はい、作品を通して、人を笑わせられたらなと。
Q:普段から、笑わせることが好き?
A:それはないかもしれません。私はすごく考え込んでしまって、ネガティブな方に行っちゃう質なんです。今まで人のことを笑わせてきたかどうかと聞かれたら、多分できてなかったと思います。
Q:受験会場でネタを得たということですが?
A:私の前に座った男の子が、なぜか咳をするときだけマスクを外すんですよ(会場笑)。「やめんかい!」と思ったんですが、ふと「あ、これは使えるわ」と思って、問題用紙にメモしました。そして、試験官の女性がピンクの服にピンクの靴で、全身ピンクだったんです。さらに2時間くらいして、ふっと顏を上げたらピンクのメガネまでプラスされていて。こんなオモロイことがあるんや〜と、ネタにいただきました。
Q:演出への意気込みは?
A:みんなで一緒に笑える、楽しい撮影になればいいなと思います!
Q:昨年の作品『十七歳』はご覧になられましたか?
A:圧倒されました。同い年の女の子が書いたとは思えなくて、それは負けるわと。映像化されたものと、青山ななみさんのイメージにほとんど差がないんだろうなと思いましたし、自分のアタマの中を映像化する上で、的確に表現する言葉を使われたんだろうなと。ひとつの芸術のような作品を、努力で築き上げられたことを、本当にすごいと思っています。
Q:キャスティングのイメージはありますか?
A:主人公とかのイメージを受験会場で出会った人からいただいているので、実際に俳優さんが演じることを考えていなくて。できれば、自分が出会った人々自身に演じて欲しいくらいです、スミマセン(爆笑)
こうして、笑いの絶えない会見は終了しました。
丸山さんの作品がどのような映像になっていくのか?
引き続きレポートしていきますので、ぜひ皆さん、応援をよろしくお願いします!